大学卒業後、システム開発のプログラマーを7年、工場用機械の営業を30年経験しました。長年、デスクワークと営業職だったこともあり、今度はもっと体を動かす仕事や各地を飛び回る仕事がしたいと考えていたんです。転職が具体的になったきっかけは、前職の会社がコロナ禍による業績悪化で、早期退職制度を始めたことでした。元々60歳で転職をしようと思っていたこともあり、退職を決意しました。

退職後はハローワークの求職者支援制度を利用して、プログラミングのスキル習得に取り組みました。再就職をめざす人たちと一緒に、有名ショッピングサイトのホームページ構築などを約3ヶ月ほどかけて勉強しました。訓練終了後、転職先としていくつかの選択肢を検討しました。1つ目は訓練を活かせるプログラミング、フランチャイズの自営業、軽トラの搬送、食品の店舗販売、清掃業を候補にしていました。しかし、いずれも決定打に欠けなかなか踏み出せない中で、たまたまトラックドライバーをやっていた知人の話を聞く機会がありました。元々考えていた各地を飛び回る仕事という希望にもマッチしていて、ドライブが趣味だったこともあって、この仕事に挑戦することにしました。

トラックドライバーには積載量と走行距離の違いがあり、私の場合は中型4トントラックで地場と呼ばれる近距離を担当しています。配送先は岡山市内が中心で、遠方でも週に1度香川県にいく程度です。仕事の内容は、冷凍・冷蔵食品を特定の冷凍倉庫やスーパーの物流センターへ納品することです。

1週間のスケジュールは、月曜から金曜が岡山市内、日曜日は香川への配送です。1日のスケジュールは、岡山の場合で倉庫と工場の2箇所で集配、別の倉庫と工場へ配送の計4箇所。香川の場合は、3箇所で集配、2箇所に配送の計5箇所となっています。集配の荷物は基本的に台車やパレットに載った状態で運びます。岡山では冷凍状態のパンがメインになっており、40個くらいのダンボールの積み下ろしがあります。一旦、冷凍倉庫に納めた荷物を、注文に応じて、再び冷凍倉庫から出荷していくという流れを繰り返します。

納品先でお客様からいただける「ありがとう」の言葉は、一番の励みになっています。とはいえ、この言葉をいただけるようになったのは最近になってから。信頼関係がないと、なかなかこの言葉はいただけません。ミスなく納品を繰り返していくことも大事です。そこで、最初の頃は自分の方からお客様へ積極的に挨拶やお礼をしようと心がけていました。コミュニケーションが取れるようになると、次第にお客様の方から話しかけてきてくれるようになりました。仕事のことはもちろん、世間話などにも花が咲くように。営業時代の経験も活かすことで、約半年で信頼関係もかなり築けたように感じています。

エッセンシャルワーカーとして、人々の日常生活を維持するために不可欠な職業であることもやりがいのひとつです。前職までは、物流を意識することなく、スーパーなどで食品の買い物をしていました。いわゆる受益者側の視点でしたが、こうやって提供側に回ってみると、改めてこの仕事が与える社会的な意義を痛感しています。当たり前にある裏には、こういった仕事を担う人がいるから成り立っているんだと。特に私が扱っている食品物流は、多種多用な物流業界の中でも、人々の日常生活になくてはならない仕事だと実感しています。

今回の転職を機に中型免許を取得しました。半年経ってトラックの運転にもかなり慣れてきましたが、もっと運転技術を上げていきたいと思っています。運転技術が上がれば、時間的にも体力的にも余裕が生まれてきます。余裕ができれば、先を読んだ仕事ができるでしょうし、より早くより丁寧に効率良く納品できると考えています。

安全性と確実性の向上も目標です。どんなに早く目的地に着いたとしても、事故を起こしてしまえば意味がありません。事故は自分の身体的ダメージだけでなく、車両や荷物にも損害を与え、最終的にはお客様の不利益につながります。当社では経験の浅いドライバーに先輩社員が同乗する安全指導制度があります。倉庫内はフォークリフトなどが動き回る環境で、周囲の確認は絶対に忘れてはいけません。トラックを降りた後や荷物の上げ下ろし時など、事故を起こしやすい場面の対処方法などは、とても勉強になっています。

トラックドライバーは危険なイメージがあるかもしれませんが、当社では安全第一で研修制度やバックアップ体制も充実しているため、業界未経験者でも安心して働くことができます。実際に私も未経験者。入社直後は体力的に若干キツく感じられるかもしれませんが、2ヶ月ほどで慣れていきます。荷物の積み下ろしは、力を使わないコツがあります。無理に力に頼ると疲れてしまいますが、テコの原理を利用した物の動かし方だとラクに動かせたりします。そういったテクニックは先輩社員から教えてもらえます。

休日は土曜日と会社指定日の週2日、年末年始などの連休もあります。休日の希望があれば、事前に伝えることで融通を効かせてくれます。働き方も昼間に走る地場路線か、しっかり稼げる長距離路線かを選ぶこともできます。私も60手前での転職でしたが、休日には息子の野球観戦に出かけるなどワークライフバランスもしっかりと保てています。40代〜50代の社員も多く、年齢を問わずみんな元気に働いている職場。中高年の方でも自分には無理だと諦めないで、ぜひ応募してほしいですね。